頭皮から大量の汗が出る原因はなんですか?
2017.12.26
暑い時や人前に出たりなどの緊張時に頭皮から大量の汗が出る、という方がいます。
汗をかくというのは新陳代謝がきちんと機能しているということ。汗をかかないよりはかく方がいいのは確かです。
しかし、気温も高いわけでもなく運動後でもないにも関わらず、うなじに垂れてくるほどの大量の汗は要注意。多汗症の一種であり、病気である可能性もあるからです。
とはいえ、暑い時や運動後、緊張時に多少の汗をかいてしまうのは仕方ない時もあります。頭皮からの汗はそのままにしておくと抜け毛や臭いなどのトラブルに発展することも。
今回は頭皮からの汗について、多汗症という病気や予防方法を含めてお話ししていきましょう。
多汗症かな!?
多汗症の一種?
毛穴の周りにはエクリン汗腺、アポクリン汗腺という汗を出す「汗腺」があります。
汗腺は皮下組織にあるので目では見えません。汗腺の主な仕事は、汗を出して体温調節することです。汗腺は当然、頭皮にだけでなく存在します。
その証拠に、運動をした時や真夏の暑い時は頭皮以外からも汗が出ますよね。
多汗症とは自律神経の乱れによって起こる、運動後でもないし気温が高いわけでもないのに異常なほど汗が出る病気のことです。
多汗症には、局所性多汗症と全身性多汗症があります。手のひらだけに異常なほど汗をかいたりするのが局所多汗症です。もちろん、頭皮という局所にのみ多汗が起こる頭皮多汗症も存在します。
多汗症とは交感神経が失調して、体温調節する以外で発汗してしまうものです。医学的には、精神的な原因ではない異常な発汗をさします。
生活に支障が出るレベルの頭皮からの汗や、寒いのに頭皮からの汗が止まらない場合は医療機関に相談しましょう。甲状腺亢進(バセドウ病)やその他内部疾患である可能性もあるからです。
他の部位はそんなに汗をかいていないのに、頭皮から出た汗がうなじにまでたれてくるような、そのような多汗の場合は医療機関を受診しましょう。
医者に行った方が…
予防の方法
身体機能が失われて起きてしまう多汗症以外にも、精神的なことが原因で頭皮から汗が出すぎる、ということもあります。
主な原因は「ストレス」。
精神的なストレスが体に負荷をかけると、交感神経が働きすぎるようになります。常に緊張状態にあるのと同じなのです。
そうすると、人によっては汗が出やすくなります。
ストレスによる頭皮からの汗を予防する方法は「適度な運動」と「きちんとした睡眠をとること」が重要となって来ます。もっと言えば、いかにリラックスできるか、が頭皮からの多汗を予防する方法です。
また、一部の汗腺が衰えていると、他の部位から発汗してしまうこともあります。冷房や暖房の効きすぎた環境に長くいると汗腺が衰えて良い汗をかけなくなる、というのを聞いたことがあるかもしれません。
汗をかく機会がないと正しく発汗する機能を衰えさせてしまうのです。運動をして自然な発汗を促すことで、衰えた汗腺をもう一度働かせてやると、正しい場所から正しいだけの量の汗が出て、頭皮からばかり汗が出るのを防いでくれるでしょう。そういう意味でも適度な運動は効果があります。
睡眠をきちんと取ることでリラックスの時間を確保してあげることも大切です。リラックスすることは自律神経を整える効果があるからです。
生活習慣を見直して自律神経を整えること、がストレスによる頭皮の多汗を予防する1番の方法なのです。
その他にも簡単にできる予防方法としては、顔含め頭皮の周辺の体温を下げてやること。額やうなじ、首筋に冷えたタオルを押し当てるとよいでしょう。
また、かいてしまった汗をこまめに拭き取ることも、頭皮の汗による後々のトラブルを防ぐために大事なことです。
辛いものなど汗をかきやすい食べ物を控えましょう。腹式呼吸もリラックス効果がありますよ。
食事も気をつけないと!
抜け毛につながることもある
人間である以上、発汗はしかたのないことですし、体温調節するためにも汗はかくべきです。
良い汗はサラサラとしていて乾くのも早いですが、悪い汗の場合はベタベタしていてなかなか乾かずに毛穴を塞いでしまうことがあります。
毛穴を塞いでしまうと、お分かりの通り、抜け毛を増やしてしまう原因となり得ます。毛穴が塞がることで健康な毛が生えられなくなるからです。
また、汗をたくさんかくということは、それだけ毛穴が開きやすくなるということでもあります。毛穴が開くとその分だけ、ゴミや皮脂が詰まりやすくなります。結果として毛穴を塞いでしまうので、やはりこれも抜け毛を増やしてしまう原因となってしまいます。
さらに、かいた汗をそのままにしておくと、汗が頭皮で酸化します。
酸化した汗と頭皮の脂、整髪料などと混ざり合って、角質となり頭皮に留まります。そうするとやはり、毛が生えてこようとするのを阻む「くせもの」となってしまうわけです。
このように汗をかくことをそのままにしておくと、抜け毛や育毛障害に繋がりやすくなります。
汗をかいたらすぐに乾いたタオルを押し当てて拭ったり、汗が酸化しにくい抗菌作用のあるシャンプーを週に2~3度程度使ったりするなどするとよいでしょう。
その際の注意点はしっかり頭皮をすすぐことです。
抗菌剤が頭皮に残留したままであると、また違ったトラブルを発生しかねません。
また、枕をよく干すようにしましょう。枕カバーの取り換えも、ぜひこまめにしましょう。
湿った状態の枕だと、雑菌の繁殖が多くなり頭皮のかゆみ、臭いなど2次的なトラブルを招きかねません。
汗をかいた後の手入れが大切!
汗による臭いは周りに影響しますか?
汗をかくと当然頭皮が湿った状態になり、雑菌繁殖の温床となります。
急な汗は臭いがきついとされています。これは、ミネラルの再吸収が間に合わずに不純物の多い汗となるためで、そうなると臭いがしやすい状態になります。
また、皮脂が多い状態のところに汗があわさることで臭いがきつくなるということもあります。
汗の臭いというのは、他人は敏感に感じ取ってしまうなもの。
汗をかかなければ周囲にはわからない頭皮の臭いも、汗をかくことで周りに不快な思いをさせてしまっていることもあるでしょう。
汗をかいたまま放置すると、頭皮にある雑菌が繁殖してさらに臭いがきつくなってしまいます。
汗をかくことで周りに臭いがしてないか? と気にしすぎて、心的ストレスになり、さらに汗が出てしまうという悪循環が起こることも…。
汗をかいてしまったらすぐに汗を拭うのはもちろんですが、シャンプーで工夫して皮脂を適度な量にしておくことも大切です。
シャンプー剤が頭皮に残っていたり、シャンプーをしすぎて皮脂を取りすぎたりすると、前者はシャンプー剤を餌に雑菌が増え、後者は体が過剰反応して余計な皮脂を増やしてしまいます。
シャンプーは1日1回2度洗いがおすすめです。シャンプーの前にブラッシングをすることでまず汚れを浮かせておきます。シャンプー剤をいつもよりも少なく取り、汚れを落とすように1回洗います。次もいつもより少なめのシャンプー剤で、今度は頭皮をマッサージするように洗います。シャンプー剤を流す時は、これでもかというくらいすすぎましょう。2度洗いを行うことにより、汚れはきちんと取れるがシャンプー剤は少なく済ませることができます。
こうすると皮脂のコントロールがうまくいくので、たとえ頭皮から汗をたくさんかいたとしても、皮脂と混ざって嫌な臭いになる、ということが防げますね。
また、ミョウバン水を作って頭皮に吹きかけるという方法もあります。漬物をつけたりなどする食用のミョウバン15gに対して水道水500mlを混ぜて1日おき、しっかりとミョウバンが溶けたものを使います。ミョウバンには制汗効果や臭いを防ぐ効果があると言われています。
人に不快な思いをさせることも
更年期と関係ありますか?
更年期障害は「ホットフラッシュ」と呼ばれる「ほてり」や「のぼせ」があらわれますが、多汗もまた症状のひとつです。
歳を重ねてから頭皮の汗が気になるようになった、という方で特に女性は更年期障害による頭皮の多汗という可能性もあります。
更年期障害はかつて0代半ばの女性によく見られる病気でした。しかし、最近は若くして更年期障害の症状が出る方も多くいらっしゃいます。
また、更年期障害は女性に多く見られる病気とされていましたが、近年では「男性の更年期障害」もよく言われるようになりました。
年齢や性別関係なく、更年期障害による頭皮の多汗の可能性も考えてみましょう。
ホットフラッシュは外気温や体温、時間など関係なく突然首から上がカァッと熱くなる更年期障害の症状です。のぼせたような状態になり、上半身、特に額や頭皮から汗が吹き出します。更年期障害の6~7割の人が経験すると言われている代表的な症状でもあります。
更年期障害でお悩みの場合は婦人科などで相談されるのも方法です。日常でできる対策としては、首筋などを冷やせるようなもの(ウエットティッシュや濡らして使うためのタオル)を常備しておくことや、温度調節しやすい服装を着ること、扇子などホットフラッシュが起こった時に体温調節ができるものを準備しておくことです。
また、生活習慣を整えてリラックスして毎日を過ごすと、ホルモンバランスや自律神経の乱れをなるべく抑えることができます。
まとめ
頭皮からの汗に悩まされている方も多いかもしれません。頭皮からの汗を放置しておくと、毛穴がつまる原因になりやすく、そのため抜け毛や発毛障害に発展することも。
うなじに垂れるほどの汗が出る時は「多汗症」という病気である可能性も考えられますから、病院を受診するなどしましょう。
度な運動をしたり、日常生活を見直したりしてリラックスして毎日をすごすことで、自律神経のバランスを安定させましょう。
どうしても頭皮から汗が出てしまった場合は、そのままにせずにタオルで拭ったり、発汗による臭いを抑えるためにミョウバン水をふりかけたりなど、発汗後の対策もこまめにすることで頭皮のトラブルを未然に防ぎましょう。